不眠が脳卒中リスクを8倍に増やすという報告です。

2014年04月19日 09:34

米国心臓学会(AHA)は、4月3日、不眠症は脳卒中リスクを顕著に増大させる可能性があるとの研究結果を紹介した。同学会のStroke誌オンライン版で発表されたもの。

 台湾で実施された研究では、無作為に選択した2万1000人超の不眠症者および6万4000人超の非不眠症者の健康記録を確認した。その結果、不眠症はその後4年間の脳卒中による入院の可能性を54%増加させること、18-34歳の不眠症患者では脳卒中の発症が8倍に増大することなどが確認された。

 研究では、過去に脳卒中の診断も睡眠時無呼吸の診断も受けていない対象者を、不眠症の種類によって分類した。大まかには、不眠症は、入眠障害および睡眠維持障害、1-6カ月間継続した慢性または持続性不眠症、不眠症再燃(4年の研究期間中のいずれかの評価時点で6カ月を超えて症状がない状態と診断された後に再燃したもの)、寛解(不眠症の診断が後に非不眠症に変化したもの)に分類された。4年間の追跡期間中、不眠症者583人、非不眠症者962人が脳卒中のために入院した。持続性不眠症者では、寛解群の対象者と比較して3年間の脳卒中累積発症率が高値だった。

 不眠症を脳卒中と関連付ける機序はまだ十分に把握されていないが、全身性の炎症、耐糖能障害、血圧上昇、または交感神経活動亢進を通じて、不眠症が心血管の健康状態を変化させる可能性があるとのエビデンスが示されている。行動的要因や心理的要因の中にも、両者間に認められた関連性に影響を与えるものが存在する可能性がある。

 研究の著者は、「不眠症を大きな健康上のリスクを生じることのない良性の病態として片付けず、脳卒中に寄与する恐れのある他の要因がないかどうか医学的に評価すべき」と述べている。